周知のように、2019年10月1日より、日本人も外国人も、子どもから大人まで、すべての人が負担する消費税の10%引き上げ分を財源として、「幼児教育・保育無償化」(以下、「無償化」とします)が実施されました。

無償化の趣旨について定めた子ども子育て支援法は、「全ての子どもが健やかに成長するように支援するもの」としています。

しかし、税負担の公平性や待機児童解消の観点から無償化の対象が無認可施設に拡大されている一方で、各種学校認可を受けている幼稚園施設が除外されています。各種学校の幼稚園施設は朝鮮学校40か所やインターナショナルスクール、ブラジル人学校など49か所の全国89か所あり、すべてが外国人学校幼稚園です。

なかでも、朝鮮学校の場合、高校無償化からも除外されていることに加え今回の無償化からも除外されており、政府の度重なる差別的措置に対し強い批判が起こっています。

日本政府は、各種学校の幼稚園施設を無償化から除外した理由を、「各種学校は多種多様な教育を行っている」からだとしていますが、幼児教育施設以外にも、料理や裁縫、算盤学校など様々な各種学校が存在するからと言って、幼児教育を行っている各種学校を無償化から除く理由とすることは乱暴すぎます。それのみならず、他の無認可施設を無償化対象とするためにヒアリングや実態調査が行われた一方で、無認可施設より教育内容や設備面で整備されている各種学校の外国人学校幼稚園だけは、実態調査すらせずに形式的に除外されたことに納得がいきません。

安倍総理は、さる10月4日の国会所信表明演説で、「みんなちがって、みんないい。新しい時代の日本に求められるのは、多様性」と述べながら、「多様性を認め合い、全ての人がその個性を活かすことができる。そうした社会を創る」ことを明言しました。

「多種多様な教育」を理由に外国人学校幼稚園を除外することは、安倍総理のこの発言とも矛盾します。

そもそも、社会全体で公平に負担する消費税が、政府の指差すごく一部の幼稚園施設の保護者たちにだけ分配されないのは極めて不公平であり、到底許すことはできません。

外国人学校幼稚園を無償化から除外することは、無償化を定めた子ども子育て支援法そのものや、「いかなる差別もなしに権利を尊重し確保する」子どもの権利条約などにも違反する措置と言わねばなりません。

私たちは、日本政府が、子ども子育て支援法の理念や子どもの権利条約などにのっとり、各種学校たる外国人学校幼稚園への適用を一日も早く実施することを強く求めます。

日本のみなさん、日本に住む外国人のみなさん、

朝鮮学校幼稚園、外国人学校幼稚園の無償化実現に向けてご支援ご協力くださることをお願いします。